【連載:ブルーフラッグと描く地域の未来 Part 4(最終回)】

目次

旅する人も地域も幸せになる観光を世界へ

JARTAが推進する「点・線・面」の地域マネジメント

JARTA(一般社団法人JARTA)がお届けしてきた連載記事「ブルーフラッグと描く地域の未来」。

これまで、ブルーフラッグの基本理念や欧米の先進事例、そして東北・南三陸における「認証の先にある地域還元」の重要性についてご紹介してきました。

最終回となる今回は、私たちJARTAが掲げるスローガン「旅する人も地域も幸せになる観光を世界へ」のもと、日本の観光が直面する課題と、ブルーフラッグを通じて地域とどのように歩んでいくのか、その根幹となる「点・線・面」の考え方をご紹介します。


「消費される地域」からの脱却とローインパクト観光

現在、日本の観光は大きな転換期を迎えています。

本来、地域の自然や文化、歴史といった「地域DNA」こそが、その地域ならではの魅力であり、持続可能な観光の基盤となるべきものです。しかし現実には、一時的な話題性や集客効果を重視した観光施策が優先されるケースも少なくありません。

例えば、文化財を舞台としたプロジェクションマッピングなどのナイトタイムコンテンツは集客効果を生み出す一方で、地域資源そのものの価値や背景を十分に伝えきれていない場合があります。

また、古くから地域住民によって大切に守られてきた自然環境や聖地がSNS等で急速に拡散された結果、利用者のマナーに関する課題が発生し、地域住民との摩擦につながる事例も各地で見られます。

「持続可能な観光地域づくり」という言葉も広く浸透してきました。しかし、本来の目的である地域主体の課題解決や価値向上よりも、対症療法的な施策や単発的な事業に重点が置かれることで、本質的な地域づくりにつながりにくいケースもあります。

だからこそ、地域資源を安易に消費するのではなく、自然や文化への負荷を抑えながら、その価値を次世代へ継承していく「ローインパクト観光」の考え方が今後ますます重要になると私たちは考えています。


JARTAが推進する「点・線・面」と、ブルーフラッグによる地域ガバナンス

持続可能な形で観光を発展させ、地域のDNAを未来へ引き継いでいくためには、地域全体で価値を守り育てるマネジメントが欠かせません。

そこでJARTAが重視しているのが、「点・線・面」の三つのアプローチです。

点

観光に関わる事業者一人ひとりの意識改革と行動です。

宿泊業、飲食業、体験事業者など、それぞれの事業活動をサステナビリティの視点で見直し、日々の実践につなげていくことが出発点となります。

線

地域に存在する価値ある「点」をつなぎ、旅行者に対して地域の歴史や文化、自然の魅力をストーリーとして提供することです。

旅行会社や観光プランナーには、それぞれの資源を有機的に結び付け、地域全体の魅力を伝える役割が求められます。

面

地域全体をマネジメントし、観光を行政や地域社会の共通課題として位置づけるためのガバナンスです。

多様な関係者が目標を共有し、継続的に協力しながら地域の価値を守り育てる仕組みづくりが重要となります。

ブルーフラッグ認証は、まさにこの「面」を構築するための世界的なフレームワークの一つです。

ブルーフラッグは、一つの施設や事業者だけで取得できる認証ではありません。

自治体を中心に、地域住民、観光事業者、教育機関、NPO、ライフセーバーなど、多様な関係者が連携しながら、水質、環境、安全管理、環境教育といったさまざまな基準を継続的に維持する必要があります。

つまり、ブルーフラッグ取得を目指すプロセスそのものが、海辺を起点とした地域ガバナンスを形成し、持続可能な地域運営の基盤づくりにつながっているのです。


共通基盤としての「サステナビリティ教育」

こうした「点・線・面」を真に機能させるために欠かせない共通基盤があります。

それが「サステナビリティ教育」です。

私たちは、サステナビリティに関する理解が、幼少期の読み書きや計算と同じように、地域住民、観光事業者、そして旅行者が共有すべき基礎的なリテラシーになるべきだと考えています。

共に学び、責任ある行動を実践する「ツーリストシップ」の精神を育むことが、地域のDNAを次世代へ引き継ぎ、コミュニティ全体の豊かさにつながります。

また、宿泊施設や旅行会社の許認可制度、ガイド養成制度、各種研修プログラムにおいても、サステナビリティ教育がより一層組み込まれていくことが望まれます。

教育という根が深く張られてこそ、一つひとつの「点」が育ち、それらが「線」となり、やがてブルーフラッグのような持続可能な「面」が地域全体へと広がっていくのです。


地域とともに歩む「伴走者」として

本日10月16日、南三陸においてブルーフラッグに関連する重要なイベントが開催されます。

JARTAは単なる認証申請の支援団体ではありません。

教育基盤づくりから地域のネットワーク形成、多様な主体の連携促進まで、地域に寄り添いながら持続可能な仕組みづくりを支援する「地域の伴走者」でありたいと考えています。

青い旗が、旅する人にも地域にも誇りと幸せをもたらす存在となるように。

JARTAはこれからも、全国の地域の皆さまとともに、持続可能な未来の海辺と地域づくりに取り組んでまいります。

(連載 完)

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