ブルーフラッグがもたらす「本当の価値」〜欧米事例とFEE公式グッドプラクティス〜
JARTA(一般社団法人JARTA)がお届けする連載記事「ブルーフラッグと描く地域の未来」。
第1回では、ブルーフラッグが世界で最も歴史ある海辺の環境認証であり、「環境管理・安全・アクセシビリティ・教育を兼ね備えた持続可能な海」の証明であることを解説しました。
第2回となる今回は、「ブルーフラッグを取得・維持することで、地域や観光にどのようなメリット・還元があるのか?」について、先行する欧米の事例や、国際NGO FEE(環境教育基金)が公式に共有している優良事例(グッドプラクティス)から詳しく見ていきます。
地図を開けば海岸線が「青い旗」で埋め尽くされるヨーロッパ
先行するヨーロッパの国々(スペイン、ギリシャ、フランスなど)では、旅行者が夏の行き先を決める際、「ブルーフラッグがあるかどうか」がごく自然な比較・選択基準となっています。
現地のビーチマップを開くと、海岸線がブルーフラッグの青いマークでびっしりと埋め尽くされている地域も珍しくありません。むしろ、「ブルーフラッグがないビーチは、水質や安全面に不安があるかもしれない」と旅行者に敬遠されることすらあるほど、国際的なサステナブルトラベラー(持続可能な旅行を志向する層)やファミリー層にとっての「強力な品質保証のスタンダード」として定着しています。
青い旗が並ぶ地域は、世界に向けて自地域の海辺を「選ばれる目的地」として強力にブランディングすることに成功しているのです。
FEE公式が称賛!海辺の価値を高める「グッドプラクティス」
ブルーフラッグを運営する国際NGO FEEでは、毎年世界中の優れた取り組みを「グッドプラクティス(Good Practices)」として選出しています。単なる環境保護ではなく、地域コミュニティや経済循環に大きく貢献している事例が公式ページ(FEE Blue Flag Good Practices)で共有されています。
ここでは、地域還元に成功している代表的な視点をご紹介します。
1. 徹底した「アクセシビリティ」が新たな顧客を呼ぶ(スペイン等)
世界最多の取得数を誇るスペインなどでは、車椅子対応トイレやスロープの設置にとどまらず、水陸両用の車椅子や専門の介助スタッフを配置。障がいを持つ方やシニア層が家族全員で海を楽しめる環境を整えることで、国内外から新たな観光客層を呼び込み、周辺ホテルや飲食店の長期滞在・売上増加につなげています。
2. 地域資源を「生きた教室」に変える環境教育
年間5回以上義務付けられている「環境教育プログラム」を、単なる啓発活動ではなく魅力的なエコツアーへと昇華。地元の漁師や専門家がガイドとなり、観光客や地元の子どもたちに海の生態系を伝えます。住民のシビックプライド(地域への誇り)を育むと同時に、地元事業者の新たな収入源を創出する循環モデルとして評価されています。
【日本の快挙】滋賀県「ヤンマーサンセットマリーナ」が世界1位を獲得!
海外事例だけでなく、日本国内でも素晴らしいモデルが生まれています。2024年のFEE公式コンペティション(サーキュラーエコノミー部門)において、滋賀県のヤンマーサンセットマリーナが世界5,200か所以上の頂点となる第1位を獲得しました。地域と連携した湖底清掃や廃棄物削減の取り組みが高く評価されたこの事例は、日本の施設が世界をリードできることを証明しています。 ▶ 関連記事:【世界1位の快挙】ヤンマーサンセットマリーナがブルーフラッグ・グッドプラクティスで第1位を獲得!(JARTA公式)
単なる「集客」で終わらない。地域に巡る4つの本当の価値
これら国内外のグッドプラクティスが示すように、ブルーフラッグは決して「飾るための看板」ではありません。厳格な基準を維持するプロセスそのものが、地域に以下の多様な還元をもたらします。
- 地元事業者への経済還元:安全・清潔な海という評価が、周辺事業者の客単価向上や通年観光化につながる。
- 地域住民の誇り(シビックプライド):厳しい国際基準を地域が一丸となってクリアし続けることで、海への強い愛着が育まれる。
- 次世代を育てる教育効果:海を「生きた教科書」として、次世代の地域づくりを担う人材が自然と育つ。
- 持続可能な官民連携プラットフォーム:自治体、事業者、住民が「旗の維持」という共通目標を持つことで、強力なコミュニティが形成される。
日本国内においても、単に「認定を受けた」という事実で満足するのではなく、いかに地域の事業者や住民へ還元し、持続可能な地域づくりにつなげていくかという視点が今まさに求められています。
次回予告:東北・南三陸から考えるブルーフラッグの未来
次回(第3回)は、本連載の核心に迫ります。震災以降、地域の復興や海辺の環境整備の取り組みが進む中で、各種補助制度の後押しも受けながらブルーフラッグ取得が広がってきた東北・南三陸の現状を踏まえ、一過性の行政イベントで終わらせずに「真の地域還元」や「民間の活性化」へどうつなげていくべきか、その展望を論じます。
(第3回へ続く)










