a

Hi there! This is Esben, an elegant photography theme. Are you ready to show your work to the world?

Back to Top

【コラム】ツーリストシップ ― これからの観光に欠かせない考え方① 

 

旅行者と地域は、実は表裏一体の存在 

今回のコラムでは、ツーリストシップを単なる「旅行者のマナー向上」としてではなく、これからの観光に欠かせない考え方として捉えています。これは、サステナブルツーリズムに取り組む筆者自身の視点によるものであり、必ずしも一般社団法人ツーリストシップの見解と一致するものではないかもしれません。本コラムが、皆さんの旅や観光に対する視野を広げるきっかけになれば幸いです。 

ツーリストシップとは、「旅先に配慮し、地域に貢献しながら交流を楽しむ姿勢や行動」を指します。(*1) 

この説明を聞いて、「旅行者のマナーの話なのだから、旅行者を受け入れる地域に住む自分には関係ない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、私たちは誰もが旅行者になり得る存在です。 

旅行というと海外旅行を思い浮かべがちですが、日本国内でも同じことが言えます。本州から北海道や四国、九州、沖縄、離島へ行くとき、あなたは訪問先の地域にとって旅行者です。県外へ出かけるときはもちろん、より身近な例では隣の市町村を訪れる場合でも同様です。コロナ禍では「マイクロツーリズム」という言葉が広まりました。遠くへ行かなくても近隣地域を訪れることで、新たな魅力を再発見した人も多かったのではないでしょうか。このような身近な移動においても、私たちは旅行者として地域と関わっています。 

さらに、ツーリストシップは単に場所を移動するときだけに関係するものではありません。 

例えば、国内で観光をしているときに、海外から来た旅行者と出会うことがあります。日本の文化や習慣を知らないために、マナー違反のように見える行動をしていることもあるでしょう。しかし、その人には悪気がなく、自国での常識や習慣の延長で行動しているだけかもしれません。 

そんな場面では、あなたは「受け入れる側」の立場になります。なぜなら、日本という視点で見れば、その旅行者を迎える地域の一員だからです。 

もしツーリストシップの考え方を理解していれば、その行動に対してただ不快感や怒りを抱くのではなく、「知らなかったのかもしれない」と寛容に受け止めることができるかもしれません。また、ツーリストシップ行動集(*2)などを参考にしながら、やさしく声をかけることもできるでしょう。そこから小さな交流が生まれれば、その旅行者にとっては日本での忘れられない思い出になるかもしれません。そして、日本という国や訪れた地域への敬意や愛着が育まれる可能性もあります。 

これはまさに、ツーリストシップを通じた国際交流です。その旅行者が帰国後にその体験を家族や友人に話せば、ツーリストシップの輪は自然と世界へ広がっていくでしょう。 

こうした関係は、日本人と外国人の間だけに限りません。例えば、新潟県出身の私が帰省中に県外から来た観光客と出会い、地域の文化や慣習が分からず困っている様子を見かけたら、何か手助けできるかもしれません。しかし、同じ新潟県内でも、その地域に暮らす人のほうが地元のことをよく知っています。私自身も、その土地の人から新しいことを教わる場面がたくさんあります。 

つまり、ツーリストシップとは、「旅行者」と「受け入れ側」が固定された関係ではないということです。私たちは、場所や状況によって旅行者にもなり、地域を迎える側にもなります。その立場は、まるでコインの表と裏のように絶えず入れ替わり続けています。 

だからこそ、「旅先に配慮し、地域に貢献しながら交流を楽しむ姿勢や行動」は、旅行者だけに求められるものではありません。私たち一人ひとりが持つことで、旅の体験はより豊かになり、人との出会いや学びも深まります。 

ツーリストシップは、単に旅先での心掛けではなく、自分自身の人生をより豊かにしてくれる考え方なのです。 

一般社団法人JARTA 渋谷武明 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 

出典・注 

(*1) https://touristship.jp/about/  

(*2) https://touristship.jp/actionguide/